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その華麗かつ超絶なテクニックと、長時間の死闘と表現しても大袈裟ではない大熱戦。プロテニスファンであれば、世界各国の主要大会のリアルタイム中継に、釘付けになって当然でしょう。
そんな平成から21世紀世代のテニスファンの方々に、ここでは「昭和のテニスの趣きと奥深さ」を、敢えてチラッとだけ紹介します。
まずはみなさんが思い浮かべるラケットの形状ですが、かつての素材は木製が基本。昨今標準とされる、各種新開発の樹脂系の素材の製品は存在せず、ガットの張られた面積もずっと狭い、例えるなら大さじのような形状でした。
次に紳士淑女のスポーツとの概念から、服装はあくまで白ベースが基本。胸のワンポイントが少し大きく派手なだけでも物議を醸しだしたのも、オールドファンにとっては懐かしい想い出話でしょう。

そんなどこかよそいきなイメージから一転して、ファッションでラケットを抱えた若者達が街に溢れたのは、1980年前後のことでした。世界的トッププロが身につける有名ブランドのテニスウェアは、国内各地で争奪戦となり、街を歩けばテニススクールにオートテニスがズラリ。「悪童」と称されたサウスポーの世界的男子プレーヤーの、あまりに独特過ぎるサーブのフォームを真似て、隣のコートにラケットを放り投げてしまう若者が続出したとかしないとか。
今振り返れば、なんだか可愛らしいとすら思えてしまう、当時のそんな空前のテニスブームでしたが、テニスという競技が有する奥深い魅力が、大衆を虜にしていたのもまた、紛れもない事実でしょう。
リアルタイムでテニスに夢中のみなさんが、数年後数十年後に「あの頃を振り返るとき、さらにどれだけの進化を見せているのか、世界のテニスを牽引するトッププレーヤーの方々から、目が離せずして当然です。